2016年6月17日 国土交通省は、「バックミラー等に代わる「カメラモニタリングシステム」の基準を整備します」と発表しました。
これは所謂、「ミラーレス車の解禁」といえるもので、従来のバックミラー等をカメラとモニターに置き換えた車を作れるようにするものです。
ミラーレス車の問題点について、車の側から考察した記事などはたくさん見かけます。
しかし、二輪車など同じ車道をシェアしている車両からみたミラーレス車の問題点についてはあまり見かけることがありません。
そこで当研究室では、一自転車乗りの立場からの見解を述べさせていただきたいと思います。
当研究室が考えるカメラシステムの問題点は、「対話性(双方向性)」の欠如ということです。
自転車乗りにおける対話性の重要性
自転車に乗っている人は、様々な方法を使って、周りの情報を収集したり周りに情報を伝えたりして、自分と周りの安全を確保しています。
アイコンタクトやハンドサインといった方法は、安全を確保するための重要な手段です。
これらの手法を使う際により重要になるのは、双方向性であったりフィードバックであったりということです。
例えば、右折しようとしている車に対して、ハンドサインを使って「待って」と伝えたとして、フロントガラス越しに見える運転者がこちらを視認していることを確認できないと、非常に不安です。
自転車は車道の左端を走る関係上、車の左後方に位置することが多いです。
そのような状態の時に、車の運転者が自分を認識しているかどうかを知るために、ドアミラー越しに見える運転者の視線を気にしながら走ることは良くあります。
また、運転者以外にも助手席の人の有無などから、運転者が運転に集中しているかどうか?など、様々なことを想定しながら、自転車の位置取りを考えています。
対話性の観点から見たミラーとカメラシステムの違い
対話性ということで考えると、ドアミラーは双方向なので自転車側から車の運転者の状況を見ることができますが、カメラではそれは不可能です。
つまり、いままで安全走行のために自転車に乗る人が得ていた情報が、ミラーレス車になると得られなくなってしまうということです。
例えばフロントガラスがハーフミラーのようになっていて、対向車から運転者のことを見ることができなかったら、車同士の交差点での事故は増えてしまうのではないでしょうか?
それと同様なことが、ミラーについてもいえると思うのです。
まとめ
カメラを使うことで、雨の日にドアミラーに水滴がついて、良く見えない
といった問題が解消されるなど、カメラシステムにもメリットがあるとは思います。
しかし、カメラでは出来ないミラーのメリットについても、もっと様々な観点から考えていく必要があるのではないでしょうか?
自転車乗りは周りの環境と対話しながら、運転をしています。
ミラーレス車のことを考える際に、車視点だけでなく、他の車両との関係による影響ということについても、もっと議論していただければと思います。
[参考サイト]
ミラーレス車を解禁へ、国交省が基準を整備
ミラーレス車とは?解禁日はいつ?デメリットとBMW・テスラのデザインも
2016年6月ミラーレス車解禁!事故の危険性とメリットデメリットは?
ミラーレス車の製造が解禁! 本当に安全性の問題はないのか!?
ミラーレス車解禁へ「カメラとモニター代用」でメーカーが開発へ向けて動き出す
ミラーレス車 公道へ 「カメラで代用」国交省解禁 来年6月にも新基準 死角減少に期待
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